第30章 【チャーリーからの手紙】
「あなた方は、そこで何をやっているのです!?」
ミセス・ノリスなんかよりずっと厄介で、ずっと恐ろしい声が、3人の耳に響いた。恐る恐る振り返ると、そこに立っていたのは紛れも無く寮監のマクゴナガル先生だった。タータンチェックのガウンを着て、頭にはヘアネットをかぶり、そして右手はドラコ・マルフォイの耳をつかんでいた。
「……まさかとは…ミスター・マルフォイの話を聞いて、まさかとは思いましたが……」
「あの、先生……これは…」
「お黙りなさいっ、ミスター・ポッター!」
雷鳴にも似た怒号が降り注ぎ、その場にいた全員がたまらず目をつぶって顔を俯かせた。マクゴナガル先生の怒りが、夜の空気を伝って全身にぴりぴりと感じられる。これは、ただ事じゃない。
「全員、私の部屋について来なさい」
怒りで震える声に従い、4人は一列になってマクゴナガル先生の後についていった。クリスはどうしてこんなところにドラコがいたのか聞きたかったし、またドラコもどうして手を引くと言っていたクリスがここにいるのか聞きたかった。
彼としては、ハリーとハーマイオニーだけを罠にはめるつもりだったのだ。しかし今は、とてもそんな事を聞ける空気ではない。
マクゴナガル先生の研究室に連れてこられると、4人は先生の机の前に横一列に並ばされた。みんな息をするのも忘れるほど神経が張り詰めている。これからどうなってしまうのか誰にも分からず、悪い方ばかり想像が膨らんでゆく。
しかしその想像も、現実に比べればまだ可愛い物だった。
「マクゴナガル先生、見つけましたよ。こいつも天文台の近くをうろうろしていました」
「ネ……ネビル……」
――災厄を運ぶ紅いの星が、さらなる不幸を運んでやってきた。