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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第29章 【Draco and Draco】


「ねえハグリッド、やっぱりこのままじゃまずいよ」
「そんなこと言っても、まだ1人じゃ餌もとれないんだぞ。それにせっかく名前も付けたんだ、ノーバートってな」

 これがいけなかった。名前をつけてしまったことで、ハグリッドは余計に愛着を持ってしまい、最近はドラゴンにかまけて家畜の世話や畑の手入れすら満足にしなくなっていた。

「俺が名前を呼ぶとちゃんと返事をするんだ、見てろ――ノーバート、ノーバートや、こっちを向いてごらん」

 ハグリッドが声をかけると、ノーバートはベッドに寝そべったまま尻尾を壁に打ち付けた。返事と言うよりも「寝てるんだから、気安く話しかんじゃねえ」とでも言いたげな様子だ。木造の家が衝撃で地震のように揺れているのに、ハグリッドは大喜びで手を叩いていた。

「ほら見ろ!なんて賢い子なんだ。あー、よちよちノーバートや。ご褒美にミルクをあげますからね」
「狂ってるぜ。ああ……僕もクリスみたいに早く自由になりたい」
「本当ね。ねえハグリッド、ドラゴンって本来は野外で暮らす生き物でしょ。それをこんな所にいつまでも閉じ込めておいたら可哀想よ。きっとノーバートだって空を飛びたいと思っているわ」
「そりゃ、ノーバートの事を考えればそうかもしれねぇが……いいや、やっぱり駄目だ。ノーバートが安心して暮らせる補償がなけりゃ、外にはだせねぇ」
「そうだっ、チャーリー!!」

 話を聞いていたハリーが、突然ロンを指差して叫んだ。

「ついに君まで狂ったのかよ、ハリー。僕はロンだ」
「違うよ、そうじゃなくって君にお兄さんのチャーリーに頼むんだよ。確かルーマニアでドラゴンの研究をしてるんだろう?そこに行けばきっとノーバートだって満足に暮らせるよ」

 少なくとも、こんな家の中で窮屈に暮らすよりは100万倍もマシなはずだ。その提案を聞いて、ロンもハーマイオニーも顔を輝かせた。

「それよハリー、冴えてるわ!」
「いや、ちょっと待ってくれ。確かにそこなら安心だが――」
「なら良いじゃん、ハイこれで決まり!」

 これ以上ハグリッドの要望なんて聞いていたら、いつまで経ったって決まらない。それでなくとも最近のハグリッドの体たらくには苛々させられていたんだ。ハリー、ロン、ハーマイオニーは半ば無理やり決定させると、これでやっと厄介払いが出来ると手を取り合って喜んだ。
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