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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第29章 【Draco and Draco】


 誰にだって1つや2つ悪い所はある。例えばハリーには少しガンコな所があるし、ロンは口が出すぎる時がある。ハーマイオニーはお節介焼きだし、クリスなんて言わずもがなだ。それでも、ハグリッドよりはマシだと言えよう。
 つい最近ハグリッドは長年の夢を叶えることとなった。夢を叶えることは大変結構な事だ、だが問題はその夢が、法律で禁じられているドラゴンの飼育だということだ。

【第29話】

 穏やかな春の日差しが指すようになった朝の大広間で、ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人は窓から火柱が見えて来やしないかとハラハラしながら朝食を取っていた。結局ハグリッドはハーマイオニーの忠告など意に介さず、本気でタマゴを孵す気でいるようだった。

「もしもさあ、ドラゴンを飼っているってバレたらどうなるの?」
「最悪アズカバン行きか、良くて免職かな」
「アズカバンって?」
「監獄だよ。それも生きてここから出たやつはいないって言う、まさに地獄の監獄さ」

 笑えないロンの言葉に、3人は口を引きつらせた。ハグリッドがホグワーツからいなくなったらどうなってしまうんだろう。岩のようなロックケーキが無くなるのは良いとして、もうあの笑顔も楽しい話も温かい手も全て、暗い牢獄の中に消えてしまうのだ。それだけじゃない、フラッフィーの事もどうなるかわからない。もうスネイプの計画をさえぎるものは、フラッフィーしかいないと言うのに。

「こうなったら、僕たちで何とかするしかないよ」
「なんとかって言ってもねぇ……」

 クィレルの件に引き続き、ハグリッドの面倒事まで背負う羽目になると、もう以前のように気力が湧いてこなかった。それでなくても毎日山のようにでる宿題だってやらなくちゃいけないのだ。体力にだって限界ってものがある。

「もういっそのこと、明日なんて来なきゃいいのに」

 そこに、ヘドウィグが小さな紙切れを持って大広間に入ってきた。ハリーがそれを受け取ると、紙にはひどく焦った殴り書きでたった一行「もうすぐかえるぞ」とだけ書いてあった。

「こりゃ明日なんて言ってる場合じゃない!!」

ロンが勢い良く立ち上がると、ハーマイオニーがそれを引き止めた。

「ちょっと待ちなさいよ、まさか今から行くつもりなの?これから授業だって言うのに」
「この際授業なんてどうでもいいよ!」
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