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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第28章 【過ぎ去りし平穏の日々】


【第28話】

「それが本当なら、これだけは言える。……そんなんじゃ3日と持つはずが無い」

 ハリーとクリスは談話室に戻ってくると、スネイプとクィレルが話していた内容を全てロンとハーマイオニーにも伝えた。毎度の事ながらクィディッチの試合に勝ったお祝いと称し、双子がどこからか沢山の料理やお菓子を持って来てパーティを始めてくれたおかげで、談話室は盗み聞きされる心配がないほど盛り上がっている。
 そんな部屋の片隅で、全てを聞き終えたロンが4人の気持ちを代弁するように言い切ると、改めて言葉にされた不安はますます現実のものとして彼らに重く圧し掛かってきた。

「スネイプも考えたよね。自分ひとりでやるよりも、クィレルを一発脅して協力させた方がずっと簡単だよ」
「それにあの先生じゃ、とてもダンブルドア先生に告げ口できるような勇気もなさそうだし……」

 はぁ…と、4人の思いつめたため息が重なる。チェックメイトまであと1手と差し迫っている現状で、立ちはだかるのは頼りないナイトが一人。しかもそのナイトも3日と持たず裏切りそうな気配が漂っている。

「こうなったら、僕達から校長先生に話そう」
「だめよ。私達がいくら言ったところで、とても信じてもらえないわ。それにそうなったら私達があの晩に寮を抜け出した事も言わなくちゃならならないのよ」
「そうさ、それに僕らが感づいたってスネイプに知られたら、何されるか分からないぞ。何せ相手は……闇の魔法使いなんだから」

 ロンはごくりと生唾を飲み込んだ。真剣に肩を寄せ合うクリス達のすぐそばでは、何も知らない生徒達が楽しそうにパーティを満喫している。その笑顔が絶望に変わる日も、そう遠い事ではない。
 クリスは左手首のアザを握り締めると、己を奮い立たせるように力いっぱいテーブルを叩いた。

「だからと言って、このまま黙って指をくわえて見ているわけにはいかないんだ!なんとかして私達でスネイプの野望を食い止めよう」
「なんとかって……具体的に何をするのさ?僕達ががんばったところで、クィレルが喋っちゃったらそれまでなんだよ」
「だったら私達で2人を近づけさせないようにすれば良い。そしてクィレルに、味方がいるってことを教えるんだ」
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