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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第27章 【一難去ってまた一難】


 ハリーは最高の気分で控え室に戻って来た。試合に勝ったんだ、それもただ勝っただけじゃない、ホグワーツ始まって以来の最短記録だ。その快挙をスネイプの目の前でやってみせたんだ、これでもう「名前だけが有名」なんて誰にも言わせない。
 まさかフレッドとジョージの言う通りにしたただけで、こんなに上手く行くなんて。ほころぶ頬を隠しもせず、ハリーはチームメイトからの賞賛に答えていた。するとそこに実況を務めたリーがなにやら慌てた様子で控え室の戸を叩いた。

「おいフレッド、ジョージ、それにハリー大変だ。どうやらお前らの弟達がスリザリンの連中と殴り合いの喧嘩をして大怪我したって!」
「あのロニー坊やがスリザリンと喧嘩?」
「ああ、なんでもロンは複雑骨折、クリスは脳内出血、ネビルは意識不明の重態で医務室に運ばれたって――ああっおい!ハリー!!」

 考えるよりも先に、ハリーは駆け出していた。
 どうか何かの間違いであって欲しい、誰か冗談だと言って欲しい。せっかく決めたのに、クリスと仲直りしようって決めたばっかりなのに――。

【第27話】

「まったく、こんな事は前代未聞ですよ!!」

 静かなはずの医務室に、マダム・ポンフリーの怒鳴り声が響く。クリスは何も言えずただ黙ってお小言を聞きながら治療を受けていた。結局あのあと放心状態のクリスは頭から血を流したまま1歩も動く事が出来ず、運よく観戦に来ていたハグリッドの助けを借りて、気絶したネビルと一緒に医務室まで運んでもらったのだ。
 そして連れてきてもらった先では、白衣の天使によるお説教と治療のフルコースが待っていた。

「まさかクィディッチの試合中に、選手ではなく観客の方がこんな怪我をするなんて!いくらなんでも羽目を外しすぎですよ!もう少し節度というものをわきまえなさい!でなければ今ここでどなたか先生をお呼びして、両方の寮から50点づつ減点してもらいますよ!!」
「50点も!?そりゃないよ!」
「それじゃあ、もうこんな事は2度としないことです」

 ロンは何か言いたそうにパクパクと口を動かしていたが、やがて大きなため息を最後に、口を閉ざした。理由はどうあれ、ホグワーツで禁止されている喧嘩をしてしまったのは事実だ。それをマダム・ポンフリーのご厚意でお咎めなしという結果に落ち着いたのだ。口答えできる訳がない。
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