第26章 【大乱闘Hブラザーズ】
【第26話】
クィディッチはホグワーツの生徒にとって、最大のエンターテイメントだ。見てよし、やってよし、騒いでよし。日頃の鬱憤をはらすには正にうってつけのスポーツである。
しかもグリフィンドールは、今日の試合によって寮杯を手に出来るかどうかがかかっている。おかげでまだ試合が始まっていないうちからスタンドは大盛り上がりで、生徒は試合開始を今か今かと待ちわびている。その中には、もちろん彼女の姿もあった。
「どうかフレッドとジョージの馬鹿にブラッジャーが命中しますように……フレッドとジョージの馬鹿にブラッジャーが命中しますように……」
「ちょっと、ハリーの応援に来たんでしょう」
前回に引き続き今回もまたフレッドとジョージに怒りを燃やすクリスは、手を組んで2人の失敗を願っていた。彼女に少しでも元気を出してもらおうと、双子がわざと怒らせた事をクリスは知らない。
「そうだった、一番大切なのはハリーだ。どうかハリーがスニッチを掴みますように……」
「今さら神頼みしたってしょうがないだろ、試合に大切なのは時の運じゃなくて実力なんだからさ。ああ、ほら。選手たちが出てき――」
クリスの行動を笑ったロンだったが、選手たちと一緒に出てきた審判を見て一瞬言葉を失った。なんとフーチ先生ではなく、よりによってあのスネイプが審判として出てきたのだ。
「なんでスネイプのやつが審判なんだよ!」
「知らないわよ、そんな事私に言われても」
これは単なる偶然か、それとも神様の悪戯か。いやこれは恐らく、スネイプの仕組んだ罠だろう。試合中の事故に見せかけて、今度こそハリーを亡き者にしようとしているに違いない。しかも不幸はそれだけではなかった。いつからそこに居たのか、ロンの丁度後ろの席からあの聞き覚えのある嫌みったらしい声が降ってきた。
「ああ、これはいいねえ。ここからならグリフィンドールの馬鹿共が無様に負ける姿が良く見えるよ」
「ドラコッ、なんでここにいるんだ!」
「そうだ!スリザリンの観客席はあっちだろう」
「僕がどこで試合を見ようと、君達に関係あるって言うのかい?いや、無いだろう、『関係』なんて」