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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第23章 【welcome home!】


「――ぷっ……ははは、あははははは!もっ、もう駄目だ。あははははは!」

 キョトンとした顔から一転、クリスがお腹を抱えて笑い出すと、ドラコは耳まで真っ赤に染めて怒鳴った。こうなれば、彼の偉そうな態度も空回りするだけである。

「なっ、なんで笑うんだよ!おい、笑うなったら!」
「だっ…だって――ははは。とっ、突然言い出すかと思えば…フフッ……くだらない焼きもちじゃないか。まったく、お前の頭の中は平和でいいな」

 クリスが笑うとドラコは憤慨したように肩をいからせ、ムッツリ起こって椅子に倒れこんだ。こっちは世界がどうなるかを懸念しているのに、目の前の幼馴染はクリスが別の友達と仲良くしていることが最大の心配事らしい。なんて小さく馬鹿らしい心配事だ思ったが、今はその馬鹿らしさが思い悩むクリスの救いになってくれる。

「あ~可笑しい、なんだかドラコの前じゃ悩んでるのも馬鹿馬鹿しくなってくるな」
「おい!その言い方じゃあ、僕がまるで馬鹿そのものみたいじゃないか」
「なんだ、やっと気付いたのか?」

 いつものようにニヤリと、口の端だけ持ち上げる。するとドラコはますます顔を真っ赤にして唇をかみ締めた。勢いで言ってしまったこっぱずかしいセリフを、あんな風に笑い飛ばされただけでなく、バカ呼ばわりされたのだ。恥かしさと怒りで、ドラコの顔はゆで蛸のように真っ赤になっていた。

「……ふんっ、もう2度と君の心配なんてしてやらないからな!」
「そんなに怒るなよ。それとも、照れてるのか?」
「照れてる?ハッ、自分のお人よしさ加減に呆れてるんだよ」
「素直じゃないな。まあ、そういうところが好きなんだけどな」
「なっ……いいい今、すすすき…好きって」

 不意をつかれて耳まで真っ赤にしているドラコに、クリスは耐え切れず盛大に吹き出した。それを見て、からかわれたことに気づいたドラコはますます顔を紅くして怒っていた。
 それから暫く、ドラコとずっとそんな言い合いが続いた。その間もクリスはずっと笑いっぱなしで、こんなに笑ったのは、本当に久しぶりだった。
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