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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第23章 【welcome home!】


【第23話】

 目が覚めてクリスが一番初めに目にしたのは、マルフォイ家の豪華な天井ではなく、見慣れた我が家の天井だった。

「……ん……あれ?」

 ややあって、クリスはそれがおかしいという事に気づいた。昨夜はあの後、まっすぐ部屋に戻りドレスもそのままベッドで眠ってしまったはずだ。しかし気づいて見れば自分の家で、しかもきちんと寝巻きに着替えている。これはどう考えてもおかしい。
 しばらく悩んでいたクリスだったが、自分のお腹の音を聞いて考えるのをやめた。そういえば昨日のパーティでは殆んど何も口にせず眠ってしまったから、胃の中が空っぽだ。

 着替えて食堂へ降りていくと、隣接する厨房から水音と食器の擦れる音が聞こえてきて、クリスはろくに確認せずにテーブルに着くと厨房に向かって声をかけた。

「チャンドラー、食事の用意をしてくれ」

 すると厨房からではなく、独特のパチンとはじける音と共にどこからともなく年老いた屋敷しもべが姿を現した。簡単な家事を魔法でこなすというのは、魔法使いの家では良く見られる光景だ。とりわけこの広い屋敷ではたった一匹の屋敷しもべしか働かないのだから、こうでもしなければとても家事はこなせない。
 クリスは特に驚きもせず命令した。

「遅いぞ、チャンドラー。早く朝食の仕度をしてくれ」

 4ヶ月ぶりに帰ってきたというのに、クリスの口調はそっけない。まるで昨日までここにいたような軽い口ぶりだった。こういう無愛想ところも父親に良く似ているが、本人はまるで自覚していない。

「これはお早う御座います、お嬢さま。少々お待ち下さい、今仕度をしますから」

 それに対し、チャンドラーは妙にニコニコしながら答えたので、クリスは我が目を疑った。チャンドラーのこんなに嬉しそうな顔なんて、ここ数年見た事がない。上機嫌で紅茶を注ぐチャンドラーを不気味に思いながら、クリスは恐る恐る尋ねた。

「……どうした、チャンドラー。何かいい事でもあったのか?」
「いいえ、それほどでも――ゴホン、時にお嬢さま、昨夜のパーティは如何でしたか?さぞや……」
「最っ悪、だった」

 昨夜の有様を思い出し、クリスがありったけの怒りを込めて即答すると、チャンドラーは手にしていたティーポットを滑り落としそうになった。
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