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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第19章 【クィディッチ】


【第19話】

 職員室からグリフィンドールの談話室まで、2人は足を止めることなく全速力で走った。息も絶え絶えに合言葉を言い、なだれこむようにして「太った婦人」の穴をくぐると、のん気にチェスをするロンとハーマイオニーが目に入った。

「おかえ――どっ、どうしたの2人とも!」

 答えようにも、口を開けば全て荒々しい吐息となって消えてしまう。ロンとハーマイオニーが座っている近くにグッタリ座りこむと、十分に息を整えてから今見てきたことを2人に話した。幸い双子のウィーズリーが暖炉の前を陣取り、前祝いと称してドンちゃん騒ぎをしていたので、クリス達の話はその騒音にかき消されて外に漏れる事はなかった。

「――3つの頭、確かにスネイプはそう言ったのか?」
「間違いない。私も、ハリーも聞いたんだ」
「あのトロールはスネイプが招き入れたんだよ、皆の注目を逸らすために。そしてその間に例の禁じられた部屋に忍び込んで、三頭犬の守る『ある物』を手に入れようとしたんだ。だけど、失敗した」

 ハロウィーンの日にスネイプが4階に向かおうとしているのは、ロンも目撃している。ロンはすぐに2人の言う事を信じたが、ハーマイオニーはそうはいかなかった。

「ちょっと待って、あなた達全員スネイプ先生を疑っているの?いくらなんでも、ダンブルドアが守っているものを横取りするような人じゃないわ」
「おめでたいよ。君って先生は全て聖人君子だとでも思ってるんだろ」

 ロンの刺々しい口調に、ハーマイオニーは言葉を飲み込んだ。ハーマイオニーはまだ何か言いたそうな顔をしていたが、スネイプが足を引きずるようになったのはハロウィーンのすぐ後のことだというのは、彼女だって知っている。

「僕はハリー達と同意見だ、あいつならやりかねないよ。でも――いったい、あの犬は何を守ってるんだろう……」

 ロンの言う事は尤もだった。いったい、何があの部屋に隠されているんだろう。クリスの中で、再びその疑問が大きく膨れ上がった。
 ベッドに入ってからも、クリスはその事ばかりが頭を駆け巡って寝付くことが出来なかった。1ヶ月以上も調べ尽くした『ある物』のことが頭を占め、そしてそれがスネイプに奪われようとしていると思うと、胃の辺りがぎゅうっと苦しくなった。
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