第17章 【祭りの後で】
「私がそんな大層な人間じゃないように、お前もそんなに卑屈な人間じゃないよ。だってマクゴナガル先生から私たちを助けてくれただろう?それも自分が罪を被ってまで」
「あれはただ無我夢中で。……それにあなた達に助けてもらったんだから、せめて何か恩返しをしようと思っただけよ」
「でも、トロールに襲われる原因を作ったのも私たちだ」
「でも、私が始めにあなた達を傷つけてしまったわ」
お互いに一歩も譲らない。見詰め合ったまま、クリスとグレンジャーはどちらからともなく吹き出してしまった。
「じゃあ、やっぱりおあいこだな」
「ええ、そうね」
あんなに嫌っていたはずのグレンジャーと、まさかこんな風に笑いあう日が来るなんて夢にも思わなかった。クスクスと笑うグレンジャーを見て、クリスはなんだか恥ずかしいような、照れくさいような気分がして、慌てて壁掛けの時計に視線を移して誤魔化した。
すると時計の針はもう9時を回っていて、そろそろパンジーとラベンダーも部屋に戻ってくる時間だ。今日は疲れているし、早めに寝ようとベッドから滑り降りると、グレンジャーが名残惜しそうにクリスを呼び止めた。
「あのっ……クリス!」
「なんだ?悪いけど、私はそろそろ寝かせてもらうぞ。話なら明日にしてもらえないか?」
「あのね、その……私たち……友達になれるかしら?」
恥ずかしそうに俯くグレンジャーに向かって、クリスは毎度おなじみの口端だけを上げてニヤリと笑って見せた。
「ああ。ハーマイオニーのお節介が直れば、ね」