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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第16章 【ウィンガーディアム・レヴィオーサ】


 他人の目から見ればクリスは相変わらず図書館に通いつめ、寝る間も惜しんで読書に明け暮れているだけだったが、クリスの中では全てが変わっていた。ドラコに諭される前は『召喚師として、是が非でも力を目覚めさせなければ』という強迫観念にも似た使命感からやっていたが、今は誰に言われた訳でも回りから求められた訳でもなく、自らの固い意志によって本に向かうようになった。

 10月に入ると、ハリーはクィディッチの練習と宿題でほとんど時間が無くなったし、あんまり手がかりがつかめない所為か、ロンも前ほど興味を示さなくなっていた。しかしそんな彼らに流されるほどクリスの決心はかるいものではなく、毎晩遅くまで本を読み、宿題なんかはその片手間に終わらせていた。そして気づけば、ホグワーツに入学してもう2ヶ月が過ぎようとしていた。

ある朝、また徹夜明けのまま大広間に下りていくと、甘いお菓子の匂いが鼻をかすめた。

「お早う……この匂いはなんだ?」
「何って、今日はハロウィンじゃないか」

 大きく切り分けたパイにかぶりつきながらロンが言った。見るとテーブルの上には朝からかぼちゃをくりぬいたランタンが飾られ、メニューもパイやジュースやスープとかぼちゃを使った料理が多く並んでいる。

「そうか、すっかり忘れてた」
「大丈夫?クリスまた徹夜したんでしょ。目の下のクマ酷いよ」

 確かに今朝、鏡で自分の顔を見たときにも同じことを思った。本に夢中になるあまり徹夜をするなんて事はホグワーツ入学前までは良くあったが、今は実家にいた時のように好きな時間に昼寝なんて出来ない。しかし万が一寝不足がたたり、マクゴナガル先生やスネイプ先生の授業中に居眠りなんてした日にはどんな厳罰を喰らうことか、考えるだけでも恐ろしい。
 クリスは眠気覚ましに特別濃い紅茶を注ぎ、それを一気にあおる。すると丁度そこに窓から2羽のカラスが入ってきて、クリスの前に小包をおいた。

「チャンドラーカラ クリスへ チャンドラーカラ クリスへ」
「カラスが喋ってる!!」
「そりゃあ喋るよ。カラスだからな」
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