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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第2章 【大切な話し】


【第2話】

 ホグワーツから入学許可証が届いた日の夜、クリスは重い気分で父親の部屋の扉を叩いた。
 いつもなら仕事で夜遅くに帰ってくるはずの父が、まるでホグワーツから手紙が来ることを知っていたかのように早く帰ってきて、珍しく一緒に食事を取ることになった。といっても、他の一般家庭のように楽しく談笑しながらではなく、寡黙な父に合わせてただ黙々と食事をするというだけだ。

 その席で、父に一言「後で部屋に来なさい」と告げられたため、クリスはこうして父の部屋の前に立っているわけだが……なんとも気が重い。

「入りなさい」

 重厚な扉の奥から父親の声が返ってくると、クリスは深呼吸をしてから扉を開けた。父は昔から仕事一辺倒で、同じ家に暮らしていながら一緒に過ごした時間は少ない。だからどうしても部屋に2人っきりというのは落ち着かない。

 部屋の中で父は、何か深く考え事をしているかのように顔の前で手を組み、その青白い顔はいつもより余計に蒼白に見えた。クリスと同じく室内に引きこもりがちのクラウスの体は細く、また真っ黒で長い髪がその不気味さを引き立てている。

 だが良く見てみるとその顔はまるで彫刻のような端整さと、どこか憂いを含んだ色気のようなものがあり、若い頃はさぞかし美青年だったのだろうと言うことが覗える。
 そんな男を父に持つクリスも、同じような黒い髪に青白い肌で、眼だけは祖父譲りだという赤い瞳だが、妙な憂いを含んだその端整な顔立ちは良く似ていた。そればかりか、その容姿と肩より短く切りそろえられた髪型からか、男に間違われることもあるほどだった。
 だから逆に――肖像画でしか見たことはないが――蜂蜜色のふわふわとしたロングヘアーと、花のような笑顔が印象的な母・レイチェルとは似ても似つかなかった。しかしそんなクリスにも、唯一母から受け継いだものがある。

「それで、お話しと言うのは?」

 とにかくさっさと話を終わらせて部屋を出て行こうと、クリスは単刀直入に尋ねた。机をはさんで神妙な面持ちでクリスを見つめるクラウスは、深くため息をつくとその重い口を開いた。

「今日ホグワーツから手紙が届いたらしいな。それに伴い、お前に2つ大事な話しをしておこう」
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