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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第13章 【真夜中の冒険】


「――ルーモス」

 小さく杖明かりをつけると、クリスはベッドの脇にある時計を照らした。他のルームメイトの寝息に混じってチクタクと音を立てながら正確に秒針を進める時計は、12時20分前を指している。丁度いい頃だろう。クリスは寝ているルームメイトに気づかれないようそっと黒いローブを羽織り、目立たないよう召喚の杖にショールを巻きつけてカモフラージュさせると、足音一つ立てずに寝室を抜け出した。
 ハリーもロンも結局あの後、クリスを介添人にすることに同意してくれなかった。ならばせめて物陰から様子を伺い、ドラコが何か卑怯な真似をしたら助太刀しようという寸法だ。余計な物音を立てないよう忍び足で螺旋階段を下りていくと、談話室から話し声が聞こえ、クリスはとっさに足を止めた。

「――まさか、本当に行くだなんて思って無かったわ。2人とも自分達が何をしているのか分かってるの?」
「静かにしろよ、誰かが起きてきたらどうするんだ」
「本当はあなたのお兄さんに言おうと思ったのよ、パーシーは監督生ですからね。あなた達を罰する権限を持っているわ。でも事を大げさにしたくないから黙っていてあげたのに」

 この傲慢で押し付けがましい口調が誰だか顔を見なくても分かる。間違いなくハーマイオニー・グレンジャーだ。となると、相手はハリーとロンだろう。クリスはゆっくりと階段を下りて様子を覗った。

「もういいロン、行こう。時間が無く――そこにいるのは誰だ!?」

 ハリーの持っていたランプがクリスの方に差し向けられ、クリスはとっさに腕で顔を隠したが遅かった。

「もしかしてクリス!?こんな時間に何してるんだ?君まさか――」
「……ばれたなら仕方が無いな。その通り、2人についていく気だったんだ。でも決闘を邪魔する気はないぞ、あくまでドラコが卑怯な手を使ってきたら手助けしようと思っただけだ」

 その証拠として、決闘の妨げになってしまうかもしれないネサラは部屋に置いてきている。しかしそれでもハリーは納得しなかった。

「だめだ、ついて来ちゃ。これは男同士の決闘なんだ、悪いけど今回だけはクリスに手を出してもらいたくない」
「いまさら『男同士』ね……いいよ、それなら2人とも迷わずトロフィー室まで行く自信があるのか?無駄に廊下は歩けないぞ、夜は巡回があるはずだ」
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