第19章 あなたと永遠に……13
また風邪がぶり返したのかな?
身体が怠いし、頭も痛い。
喉も異様に渇いているし。
「これじゃあ謙信様との約束を守れないじゃない」
布団から出られない生活が続いていた。
特に陽が出ている日中は、身体が怠く起き上がろうとすると目眩をおこして布団の中に逆戻りとなってしまう。
現代にいた時は健康そのものだったのに、情けなくて涙もでないよ。
「かおる……起きてるか?」
「幸村さん? どうぞ」
「よっ!……具合はどうだ?」
「今日は調子が良いみたいだよ」
起き上がっても目眩もないし吐き気もない。
お茶を淹れようとすると幸村さんがそれを制してきた。
「俺がやるから寝てろよ」
「大丈夫だよ」
「いーから、いーから」
「出来るよ」
幸村さんが私に気を遣ってくれているのは分かっているのに何故か意固地になってしまう。
湯呑み茶碗を取り合っていると、手が滑り落として割ってしまった。
「悪い」
「こっちこそごめんね」
割れた湯呑み茶碗を拾おうとすると、私より先に幸村さんの手が湯呑み茶碗を拾い集めた。
「いてっ!」
「大丈夫?」
「ちょっと指を切っただけだ」
「見せて」
「これくらいなんでもないだろ」
笑いながら切れた指を私の目の前に突き出す。
「あ……」
指先から真紅の血が流れている
____私の鼻を擽るように甘い匂いが通り抜けていく
頭の中が痺れて私は喉を鳴らす
「おいしそう……」
蝶が甘い蜜に誘われるかのように、幸村さんの血を口に含んでいた。
オイシイ……