第19章 あなたと永遠に……13
謙信様がいくさへ旅立ってから数日が過ぎた。
出立する時に「毎日、文を書く」と約束をしてくれた謙信様は、約束を守ってくれていた。
文の内容はとりとめもない内容だけど、それだけでも謙信様を身近に感じる事が出来て胸が熱くなってしまう。
佐助くんに習ってこの時代の文字を覚えて、私も謙信様に返事を書いている。
「かおるさん、ちょっといいかい?」
「どうぞ」
「美味しそうなお饅頭を買ってきたんだ。一緒にたべようか」
「うん、そうだね」
筆を休めて、お茶を淹れている間に佐助くんが買ってきてくれたお饅頭を用意してくれた。
「さ、食べようかおるさん」
「うん」
お饅頭を一口かじると、口の中に広がっていく甘み。
うん、とっても美味しい___
いつもの私なら自然に笑顔になるはずなのに……
どうして?
美味しく感じないんだろう。
甘さを感じる事が出来ない
「かおるさん?」
「あ……うん、美味しいよね」
まるで体内に入れたくないみたいに飲み込むのを拒む。お茶を飲んで無理やり流し込んだけど……
どうしちゃったんだろう?
「かおるさん……具合でも悪い?」
「そんな事ないよ」
「……喉に違和感でもある?」
「え?」
「さっきからお茶を飲み続けているからさ」
「あ……」
気づいたら用意したお湯がすっかりと無くなっていた。
ノドがカワク___