第18章 あなたと永遠に……12
「ところでかおる」
「はい?」
「俺がいくさに行くのが不安か?」
「もちろんです」
いくさとなったら何が起きるのかわからない。
もし万が一のことでもあったら……
そう考えるだけで不安で頭がどうにかなっちゃいそう。
私には謙信様のいない世界なんて考えられない。
考えるだけでも涙がとまらなくなってくる。
泣いちゃいけない__
そう思っているのに涙が溢れてきて、そんな顔を見せたくなくて俯いてしまう。
「かおる、俺は戦場では死なん」
謙信様の力強い声に少しは安心出来るけど、それでも心の奥底にある暗い不安感はぬぐい去れない。
「俺は強い___誰よりも強い」
黙って謙信様の言葉に耳を傾けていると左手をそっと包み込まれた。
「俺は今まで神にも誓いをたてた事などないが、そなたに誓いをたてよう」
薬指に何かが触れていく
「え……? これは……」
私の薬指には……
可憐なシロツメクサの花の指輪。
「謙信様?」
「佐助から聞いたんだが、かおるの時代では愛の証にゆびわを贈るそうだな」
「はい」
「見た事がないから分からんが……このような物か?」
「……はい」
どうしよう
胸が熱くて苦しい
謙信様の優しい心配りに嬉しくて、また涙が溢れてくる。