第16章 あなたと永遠に……11
お城の中はいくさの話で溢れかえっていた。
家臣さんや女中さん達の会話を聞いているだけで、気分が暗くなってしまいそうになる。
それに1番私の心を暗くするのは、軍議やら密談やらで忙しい謙信様。
2人でゆっくりと刻を過ごす事もなかなか叶わず、私は1人寝する日々が続いていた。
忙しい謙信様は、閨にも戻らずに本丸に缶詰め状態みたいなんですもの。
「ゆっくりと謙信様に逢いたいな」
同じ城に住んでいるのに、自由に逢えないもどかしさ。
現代では有り得ない状況だよね。
寂しいな……
「……かおる様」
「はい?」
「全然召し上がっていないようですが?」
「あ……」
目の前にある食事
何となく食欲が無くて箸も付けていなかった
「あまり食欲がなくて……下げてください」
「謙信様に会えなくてお寂しいんでしょうけど……きちんと食事は召し上がらないと」
「そうだね」
私の身体を心配してくれる女中さんにも、せっかく料理を作ってくれた人にも申し訳ないよね。
食べようと箸を取るけど……どうにも食べたいっていう欲求が沸いて来ない。
いつもなら美味しそうな匂いが、今の私には何も感じない。
「かおる様?」
「あ……うん……どれから食べようかと悩んでしまうよね」
なるべく笑顔を作ってみるけど
(顔が引きつってるよね?)
そんな私の様子を見て、女中さんは困ったように微笑んでいた。