第9章 あなたと永遠に……6
「どこに行くつもりだ?」
「ひっ……」
鋭く低い声が背中から聞こえたかと思ったら、私と信玄様の間から銀色の光りを宿した刃が顔をだしていた。
「なんだ、謙信?」
「勝手にかおるを連れて行くのは許さん」
「なぜだ?」
「理由などあるわけないであろう」
え?
理由もなく外出禁止なの?!
「なるほどねぇ(この顔じゃまだ自分の気持ちに気付いていないようだが……)」
「勝手にかおるに触れるな」
「え?」
勝手にって……
どういう事なの?
「嫌だ__と言ったら?」
私の肩から手を離すと刀の柄に手をかける信玄様。
この状況はなんなの?!
「いくらでも相手になってやるぞ」
目を細めて笑みを作る謙信様
殺気を放っているのに神々しく見えてしまうのは、どうして?
「ふっ……今日の所は謙信に譲ってやろう」
「譲る? 聞き捨てならない」
「まあ気にするな__じゃあな」
振り返る事なく信玄様は歩いて行ってしまった。
何がどうなっているのかわからない私は、呆然として立ち尽くしてしまう。
そんな私の手を握りしめ強引に歩きだす謙信様。
__やっぱり繋がれた手が熱い