第9章 あなたと永遠に……6
「じゃあ俺たちは先に行こうか」
当然のように肩に腕をまわしてくる信玄様
「あれ?」
「ん? どうしたんだい?」
「別に……」
なんかおかしい
今までの私だったら恥ずかしくて頬が火照ったり、胸がドキドキとしてたりしてたのに
今の私……冷静なんだけど
(信玄様のスキンシップに免疫がついたのかしら?)
「かおる、俺を見てごらん」
「はい?」
信玄様と視線が交わって見つめ合ってしまう。
心の奥底まで見透かされているようで、なんだか怖い
「ほう……残念だな」
「え?」
「まぁ、相手があいつなら仕方ないか」
「信玄様?」
信玄様が何を言ってるのかわからない。
「なんでもない……さっ、行こうか」
肩を抱き直されて歩きだす信玄様につられるように歩きだしたんだけど……
信玄様は何を感じ取ったっていうのかしら?
私でもわからない事が信玄様にはわかっているような気がしてしまう。
「かおる」
「はい?」
「この先、辛い事があったら俺に相談してくれ」
「信玄様に?」
「惚れた女の悲しむ顔は1番見たくないからな」
惚れた女って冗談ばかり言うんだからって言いそうになったのに私は口をつぐんでしまった。
信玄様の横顔があまりにも真剣だったから。