第1章 あなたと永遠に……1
「うっ……げほっ……ごほっ……」
激しい嘔吐きに意識が強制的に戻ってくる。
「気付いたのか?」
誰?
金色?
銀色?
光の反射で髪色が変わる
意識が無くなる直前に見た瞳の色
左右瞳の色が違う
綺麗な人__
それが彼を見た第一印象
「礼も無しとは__やはり、女という生き物は好きになれん」
辛辣な言葉に自分の置かれている立場を瞬時に理解した。
私はおそらく崖から湖に落ちて
この人に助けられたんだろう。
そして意識のない私をどこかに運ぼうとしてくれたみたい
「あ、ありがと……」
「謙信様?! どうしたんですか? そんなにずぶ濡れで……?」
私のお礼の言葉は、前から走ってきた人によってかき消されてしまった
「え……?」
「うん?」
「……佐助……くん?」
「かおる……さん?」
私の目の前には数ヶ月前から行方不明になっていた近所に住む元同級生の佐助くんの姿
「佐助の知り合いか?」
「え? あ、はい」
「そうか……後は任せた」
「え?……きゃっ!!」
突然、何の脈絡もなしに私の身体は地面へと落ちた
「かおるさん?! 大丈夫?!」
「っ……いたっ……」
何なの?!
あの人!
いきなり落とすことないじゃないのよ
振り返る事のないあの人を睨みつけながら、私は地面に思いきりぶつけたお尻をさすっていた。