第1章 あなたと永遠に……1
見渡せば回りには木ばかり見える。
前を見ても木
後ろを見ても木
右を見ても左を見ても__
木……
単純に考えれば此処は、森か山の中
空を見上げると木の間から薄陽が差していることから
昼間だと思うんだけど……
私の記憶に間違いがなければ、私は街なかにいて自転車に乗っている人と接触を起こして……?
そこからの記憶が……ない
冷静に対処しようと思うけど
え?
なんで?
なんで記憶がないの?!
ゆ、夢?!
夢を見てるの?
頬を抓ってみると
「……痛い」
痛いんですけど?!
なんで痛いのよ!!
痛いっていうことは夢じゃないの?!
ポケットをまさぐるとスマホがある。
良かった……
これで現在地が確認出来る。
「え……? 圏外……」
スマホは圏外を示している。
どうして?
ここが森の中だから?
考えてみてもしょうがない。
まずはここから抜け出そう。
どっちに向かって歩いていいのか分からないけど、とりあえず歩かない事には事態は変わらないよね。
行く手を阻む枝を折りながら、私は前へと進んでいく。
しばらく歩いていると遠目にキラキラと光るのが見えてきた。
「池……? 湖……かな?」
木以外の風景を見れた事が嬉しくて私は、その方向に向かって全速力で走った。
周りの景色が開けてきて喜んだのもつかの間
「きゃあー!!」
突然身体が宙を浮いたかと思うと、すぐさま落下していく。
湖に落ちる!!
始めて体験する衝撃を受けた直後に息苦しさと大量の水が体内に入ってくる。
必死になってもがくけど、身体はどんどんと水の底に落ちていくようで……
怖い
くるしい
私、このまま死んでしまうの?
助けを求めて腕を伸ばすと
強い力で身体を引き寄せられていく
うっすらと瞳を開けると……
だれ?
綺麗な瞳……
薄れゆく意識の中で瞳の色だけが私の脳裏に焼きついていく