第1章 あなたと永遠に……1
「大丈夫かい?」
「うん……大丈夫だよ」
立ち上がろうとした私に手を差し伸べてくれる佐助くん。握った手が温かい
「やっぱり佐助くんだよね?」
「そうだよ、俺はかおるさんが知っている佐助だ」
なんだか不思議な気持ち
夢で佐助くんに会えるなんて
「かおるさんは夢だと思ってるよね」
「うん……夢だよね?」
「これは現実だ」
「え?」
佐助くんの言葉がちょっと理解出来ない。
でも、私の知っている佐助くんは冗談や嘘を言ったりしない。
「俺は平成の時代でどうなってる?」
「3ヶ月前から行方不明になっているよ」
「そうか……時間の流れがかなり違うんだな」
「時間の流れ?」
「俺はこの時代に来て5年の月日を過ごしている」
「5年ですって?!」
一体、どういう事なの?
まったくわかんなくて涙がでそう。
そんな私に佐助くんが身振り手振りで説明をしてくれた。
大学で時空を超える研究をしていた佐助くん。
色々な実験をしているうちに偶然にも時空を超えて、戦国時代に到着したらしい。
「嘘みたいな話よね」
「でも現実だ。俺はこの時代で生きている。腹も減るし眠くもなる。嫌な事だけど病気にもなる」
「それが本当なら私はどうしてこの時代に?」
「うーん……それは謎なんだ。俺の立てた仮説にはあてはまらない」
「ねぇ……」
「うん?」
「私……戻れるのかな?」
「かおるさんが還れるように研究をするから、安心して」
慰めてくれるように優しく頭を撫でてくれる。
それだけで、少しは安心できる。