第7章 あなたと永遠に……5
そんなある日
私は幸村さんからおつかいを頼まれて、城下町へと向かっていた。
城下町には佐助くんに何度か連れて行ってもらった事があるけど、1人で行くのは今日が初めて。
ちょっとドキドキとしながら歩いていると
「あれ?……謙信様?」
お供の人も連れずにぷらぷらと歩いている。
仮にも一国一城の主なのに1人で出歩いてもいいのかしら?
声をかけようか、かけないか__
悩んでいると
「1人で何をしている?」
ゆっくりとした足取りで私の方に歩み寄ってくる。
「私はおつかいを頼まれて……謙信様こそ何をしてるんですか?」
「退屈だったから散歩をしていた」
「おひとりで?」
「散歩は1人でするものであろう」
まあ、そうだけど。
やっぱり謙信様と喋るのは緊張してしまう。
会話が弾まないというか……
どうしていいのかわからない。
(だったら無理に話をしなくてもいいんじゃないかと思うんだけど)
何でだろう?
私は、気まずいと思いながらも謙信様の傍にいたいというか……
謙信様を見ていたいと思ってしまう。
綺麗な外見に惹かれているのかな?
それとも、もっと違う何かがあるの?
夕陽に照らされている謙信様は、どことなく儚げで消えてしまいそうな美しさがある。
しばらく見惚れていると風にのって祭り囃子の音色が聞こえてきた
「どこかでお祭り?」
「近くの神社で祭りがあるが」
「どこですか?」
「……ついてこい」
「え?」
すたすたと歩きだす謙信様の後を慌てて追いかける。
連れて行ってくれるのかな?
謙信様とお祭りに行くなんて緊張してくるんだけど、でもちょっとは嬉しいかも