第4章 あなたと永遠に……3
「幸には何をしているように見える?」
「何って……信玄様がかおるを手篭めにしているようにしか見えませんが……」
「手篭めとは酷いな」
焦ることなく、やんわりと笑いながら幸村さんと会話しているんですけど?
私は心臓が破裂するんじゃないの?!
そんな勢いでドキドキしているのにっ
私、信玄様に遊ばれている?
絶対に遊ばれているわよね?
「ん?お前なんでぶすくれてるんだ?」
(怒るに決まってるでしょ)
「かおるは怒った顔も可愛いとは……」
(っ……そうやって甘いことを素で言わないで!!……勘違いしちゃうじゃない)
「ところで幸はどうしたんだ?」
「へ?」
「かおるに用事かい?」
「あ……べ、別に。
たまたま部屋の前を通りかかっただけで……」
何故か目を泳がせている幸村さん
ん?
どうしたんだろう?
「くんっ……ん?」
何故か鼻を鳴らして匂いを伺う信玄様
私も真似をして匂いを嗅いでいると
「なんだか……甘い匂いが?」
幸村さんから甘い美味しそうな匂いがしてくる
「ほう……なるほどな」
嬉しそうに笑みを作り、幸村さんの頭をくしゃくしゃと撫でる信玄様
「ようやっと幸も女を喜ばせようとする気遣いが出来るようになったとは__
俺は嬉しく思うぞ」
「違いますって!!……ただ、俺は美味そうな饅頭が売っていたから買っただけで!!……別にかおるに食わせてやりたいなんて思ってなんかっ……」
「照れるな、照れるな」