第2章 月島夢01
「…月島……?」
「……悪いのは、天崎だから。」
何が?と聞こうとしたけど、言えなかった。
気付いたら目の前には月島の顔があって。
驚いて固まっているうちに月島は離れ、固まったままの私に溜め息をついた。
「…ねぇ、何か反応無いの?」
「や、え、あ、な、え?」
「何が言いたいか分かんない。」
「な、な、何、で……キ、キス……」
「だからそれは天崎が悪い。」
「い、意味わかんない!!…あれ?!新手の意地悪?!優しくしておいて突き落とす系のやつ?!」
「…あのさ。」
無理矢理テンションを上げて誤魔化そうとしてる私に気付いたんだろう、月島に言葉を遮られる。
「……なによ。」
「いくら僕でも意地悪でキスなんかしないよ。」
「っ、じゃ、じゃあ何で……」
「…………天崎が、好きだから。」
「え…」
月島の言葉に驚いていたら手に傘を押しつけられて、思わず掴む。
「ちょっと、なに…」
「うち、すぐだから。天崎は家までまだあるでしょ?今度返して。」
一方的にそう言うと月島はすぐに傘から出てあっという間に走って行ってしまった。
…残されたのは呆然とする私と月島の傘。
あぁ………何で、何で、天敵の筈だった月島にこんなにドキドキしてるの…!!!