第18章 月島夢07
「…あの、天崎さん、ツッキーって普段器用だけど、人間関係はかなり不器用なんだ。」
「……え?」
「皮肉言ったり、からかったり…でも嫌いな人とは話さないし、だから何て言うか………特別なんだと思うよ、天崎さんは。」
俺がはっきりしたことを言う訳にはいかないからぼやかしながら言う。
ややこしいけど、ツッキーは天崎さんのことを特別な女の子だって思ってるはずだよって。
伝わったかな、と思っていると不思議そうに首を傾げる天崎さん。
「……特別?」
「うん……俺が見てて思っただけだけど…。」
「……山口くんって月島くんと幼馴染なんだっけ?」
「え?あ、うん。」
突然話が変わって、今度は俺が不思議に思って首を傾げる。
「……そっか……………うん、幼馴染の山口くんがそう言うなら…私、もうちょっと頑張れそう。」
「え?」
どういうことだろう、と天崎さんの呟きが気になったけど天崎さんはパッと明るい顔になって俺を見た。
「あ、山口くん先に行って良いよ!鍵、私が閉めておくから。」
「あ、う、うん…?」
えーと……俺の言いたかったことは伝えられたの、かな?
伝わってたら良いな、そんな風に思いながら俺はツッキーの後を追いかけた。
…………後日、不機嫌そうに見える顔をしながらツッキーに「…柚季と付き合うことになったよ。…………お前ってお節介だね、山口。」と言われて、俺が驚きながら喜んだのはまた、別の話。