第15章 月島夢06
そうして医務室へ行って手当てをしてもらって、痛みがおさまるまでは安静に、と言われてから先生が電話で席を外して私と蛍くんの2人きりになる。
何て言葉をかけよう、色々と考えるけどいい言葉が思いつかなくてどうしようと思っていたら俯いたまま蛍くんが口を開いた。
「……こんなタイミングで怪我するとかほんと役立たずだよね。」
「そんなこと、」
「あるよ、こんな、こんな後半の大事なタイミングでとか、有り得ない…!早く戻らなきゃ、早く…!」
焦ってイライラしている蛍くんを見て……私は思わず蛍くんの頭を抱きしめた。
「っ!!なに、柚季…」
驚いている蛍くんの頭をそっと撫でる。
「大丈夫、大丈夫だよ。皆は強いもん、蛍くんが戻った時に負けてるなんて絶対無い。だから落ち着いて、少し良くなるの待とう?」
私がそう言うと蛍くんは少し黙り込んで……小さく笑った。
「…ほんと柚季って変。」
「変って、何も変なことしてないよ!」
「頭をこんな風に抱きしめるとか普通しないデショ。」
「だ、だって蛍くん、まだ痛いだろうに戻っちゃいそうな感じしたから…!」
「もしかして止めたつもり?……ははっ、やっぱり変で面白いよ。…………でも、ちょっと落ち着いた。」
「…うん。絶対大丈夫だよ、信じてようよ。」
「…………ん。」
信じるよ、そう小さな声で蛍くんが言ったのが聞こえた。
「……………それで、柚季はいつまで僕の頭を抱きしめてるワケ?そろそろ離して欲しいんだけど。」
蛍くんがそう言ったけど、私は少し戸惑う。
理由は蛍くんの左手が少しだけ私の服を掴んでたから。
あぁ、もしかして無意識なのかななんてちょっとときめきながら抱きしめる力を少し強くした。
「ふふー、もうちょっと!」
「…はいはい。」