第1章 影山夢01
飛雄くんの言葉に2人して固まって黙り込む。
こ、これって、つまり、飛雄くんは私を好きって……こと?
理解して……一気に顔に熱が集まる。
飛雄くんも同じようなタイミングで真っ赤になっていて、だけど真っ直ぐに私を見てきた。
「…お、れは、ずっと、ずっと柚季が好きなんだよ…!」
「ず、ずっと?!」
一体いつから?!と突然の告白に驚く。
多分、口を滑らせてしまったことで吹っ切れたらしい飛雄くんはそれに素直に答えてくれる。
「………小さい頃は姉貴みたいに思ってたけど、だんだんそういう意味で好きになってた。……あんたは、柚季は…俺のこと、どう思ってんの?」
私の腕を掴んだままだった飛雄くんの手に少し力がこもる。
彼の真剣な顔に緊張して息苦しくなりながら、私は震える唇を開いた。
「……正直、飛雄くんはずっと弟のような存在で………今、飛雄くんと同じ意味で好きかどうかって聞かれると分からない、の。」
私の言葉に飛雄くんの眉間に皺が寄る。
振られてると思ったんだろう、だから慌てて私は続きを口にした。
「でも!でも、ね?こうして久し振りに会うようになって……背が伸びて格好良くなった飛雄くんに、ドキドキしてる私もいて………だから、もう少しだけ待ってて欲しいの。」
自分の気持ちを整理して、今の飛雄くんをどう思ってるのかをちゃんと考えたい。
そう思って言うと、飛雄くんは少ししてから頷いてくれた。
「…分かった。」
「うん…真剣に考えるから、待っててね。」
…それから、私と飛雄くんが付き合うことになるまでのことは……また別のお話。