第12章 及川夢01
岩ちゃん、岩ちゃん、と昔っから柚季は嬉しそうに岩ちゃんの後をついて歩いてて。
俺はというと昔っからその2人の間に飛び込んで、そのせいで柚季は俺と一緒にまとめて岩ちゃんにうっとおしいって追い払われて。
それは高校3年になった今でも変わってなかった。
はずだったんだけど………………変わらなくちゃいけないのかもしれない。
俺がそう思ったのは廊下で前の方を歩く岩ちゃんと柚季を見かけたから。
柚季は相変わらず嬉しそうに岩ちゃんに話しかけてて、だけど違うのは柚季の歩いてる位置が岩ちゃんの隣で、それから岩ちゃんもまんざらでも無さそうにしてること。
いつの間にか岩ちゃんも柚季を好きになってたんだなと気付いてしまった。
「…あーあ、俺のなっがい片想いも終わりかぁ。」
ポツリと呟いて、じゃあこれで最後にしようと決めて廊下を走り出す。