第7章 西谷夢01
皆がこっちに歩いて来る。
何てタイミング悪いんだ……!!
今西谷くんの顔なんて見れないよ…!
と思っていたらその当人の顔が目の前に現れた。
びっくりして息をのんだ私に西谷くんは不思議そうな顔をする。
「柚季、どうした?何かすげぇ顔赤いけど。具合悪りぃのか?」
熱でもあんの?とおでこに触られて、顔が更に熱を持ったのが分かった。
「うわ、熱っ!大丈夫か?」
「だだだ大丈夫…!うん、ちょっと、あの、ほんとに平気だから…!」
「…ほんとだろな?」
「ほ、ほんとだよ…!!ちょっと清水先輩と話しててびっくりしたことがあっただけだから…!ほ、ほら、私のことは気にしないで休憩してて…!!」
言って、西谷くんの胸にドリンクのボトルとタオルを押し付ける。
「………無理とか絶対すんなよ。」
「し、しないよ!」
何とか納得してくれたらしい西谷くんはそれで東峰先輩達の方へ行ってくれて、ホッとした。
…西谷くんが鋭くなくて良かった……。
だけど西谷くんはいきなりこちらを振り返った。
「あ!でも帰りは送ってくから!」
「え、えぇっ!そ、そんな、大丈夫だから…!」
「俺が柚季に何があったら嫌なんだよ!絶対待ってろよ!」
「っ!…は、はい………。」
…………私、帰ってる途中で心臓おかしくなるんじゃないかな…。
田「………しょっちゅう今の会話みたいなことしときながら付き合ってないんスよ、あの2人…どう思います?」
菅「確実に西谷が鈍いべ…天崎、大変だなぁ……。」
澤「田中、お前西谷に自覚させてやったらどうだ?」
田「えぇっ、そんなん無理ですって!ちょ、旭さんお願いしますよ…!」
東「お、俺だって無理だって……!!!」
菅「ヘナチョコめ。」
澤「ヒゲチョコ。」
東「何でだよ!?」