第1章 影山夢01
「………飛雄くんて、セッターなんだよね?」
「そうだけど、何だよ急に。」
「……私、セッターって、確か司令塔で賢い人がやるポジションだったと思ってたんだけど…」
私が言い終わる前にチッと舌打ちが聞こえた。
「…悪かったな、勉強出来なくて!」
そう言ってそっぽを向き、拗ねたような表情をした飛雄くんがいつもより年相応に可愛く見えて、くすくすと笑いがこぼれる。
でもこれ以上機嫌を損ねさせちゃうといけないと思って、飛雄くんのシャツの袖を軽く引っ張った。
「ごめんごめん。でも飛雄くん、記憶力はかなり良さそうだから頑張れば赤点にならずに済むよ。だから頑張ろ?」
「………ん。」
あ、少し耳が赤い。
やっぱり可愛い、とは思ったけど、今度は声を出して笑わずに彼に微笑みかけた。