第6章 菅原夢02
「柚季?もう平気になった?」
聞こえた声は菅原先輩の声で。
私はゆるゆると顔を上げる。
「……はい、すみません、いつもいつも………。」
「別に怒って無いぞ?…………なぁ、柚季はもしかして俺が苦手?」
ちょっと苦笑を浮かべた菅原先輩がそう言う。
思いがけない言葉過ぎて一瞬固まった後、思いきり首を横に振る。
「ち、違います!苦手じゃないです…!!」
「……でもさ、俺がありがとなーとか偉いなーって頭撫でたりするとそうなるべ?…嫌なことしちゃってたんかなーって思ってたんだけど。」
「ほ、ほんとに違うんです、嫌だとか苦手とか、そんなのありえないです…!だ、だって、私は菅原先輩が……」
言いかけて止まる。
待て待て私、これじゃ告白になっちゃうから…!と思うけど菅原先輩はじっと私を見ていて、首を傾げた。
「……俺が、なに?」
「………………菅原先輩が、その……好き、だから……」
ああああ言っちゃった…!
菅原先輩にあんなにじっと見られたら言わずにいられなかったよ…!!
どうしようどうしよう、と思っていたらポンと菅原先輩の手が私の頭の上に乗って。
それにびっくりしていると優しく撫でられて、先輩はニッと歯を見せて笑いかけてくれた。
「よく出来ました!………いやー正直不安だったんだけど、良かったー…!本気で嫌われてんじゃないかなとも思ってたからさ………俺も、柚季が好きだよ。」
だからショートされる度に結構傷付いてたんだぞ?なんて言われたらそれこそまたショートしてしまいそうで…くらくらする。
「す、すみません…悪気は無くて、あの、優しくされると嬉しくて舞い上がっちゃってそれで…」
「あぁなると。……じゃ、これから慣れてこうな。彼女にはもっと優しくするから。」
「か、彼女……!?」
「うん。…だって両思いだべ?」
「あ、う、そ、そうなんですよね……!えと、えと……あの、不束者ですが…その、お手柔らかによろしくお願いします…。」
くらくらしてしょうがない頭で何とかそう言うと、菅原先輩は楽しそうに笑っている。
「こちらこそ、よろしくな。」
…その後、いっぱいいっぱいになった私の頭がまたショートしたのは言うまでもありませんでした……。