第6章 菅原夢02
…目を開けると、私がいたのは体育館の隅で。
あぁ、またやっちゃったんだと深くため息をつく。
「……どうしていつもこうかなぁ。」
こう、と言うのはある先輩に優しくされると嬉し過ぎて頭がショートしちゃうこと。
ある先輩、というのは………菅原孝支先輩のこと。
私は菅原先輩に一目惚れをして、バレー部のマネージャーになった。
先輩の為に何かしたかったし、私のことを知ってもらいたいなって思ったから。
マネージャー自体も楽しくて、なかなか充実した毎日になって…先輩とも沢山お話出来るようになって幸せなのに………彼に優しくされると駄目なのだ。
好きって気持ちが強過ぎていっぱいいっぱいになっちゃって、頭が何も動かなくなる。
…で、今みたいに気が付いたら体育館の隅にいることがしばしば……。
「…………こんなんじゃ、マネージャーとしていらないって言われちゃうかなぁ…。」
迷惑以外の何者でも無いもんなぁ…でも辞めたくないなぁ…と体育座りした膝に顔を埋めながら思っていたらポンと肩を叩かれた。