第3章 菅原夢01
「はい、影山。タオルどーぞ。」
「…あ、すんません。…………あの、菅原さん…」
何て言ったら良いんだろう、そんな困ったような顔をした影山が俺を見る。
「なに?」
そう尋ねて、影山が言葉を纏められるまで待つ。
「……天崎先輩、怪我したんスか?」
「いや、してないよ。でも柚季は焦ってるとまた転ぶから。とりあえず大人しくしてなって言っといただけだよ。」
そう答えながら本当に聞きたいことはこれじゃないんだろうなと思う。
「そう、ですか………あの、菅原さんは天崎先輩のこと…」
「おーい、影山ー!」
「っ、あ………やっぱり、良いです。すんません、俺行きます。」
「うん。」
………きっと影山は柚季が好きなんだろうな。
……本人はちゃんと気付いてなさそうだけど。
(でも………ごめんな、柚季は絶対渡せないから。)