第3章 菅原夢01
私は世話焼きな方だと思う。
だからついつい、影山くんみたいな子を見てるとお世話をしてあげたくなっちゃって構っちゃうんだけど……私は正直かなりのドジで。
タオルを積んだまま持ってて渡そうとしたら躓いて、タオルタワーを影山くんにぶちまけるとか、ドリンクを作ってて、粉を溶かすために振ってたら蓋が開いてしまってこれまた影山くんにかけてしまったりだとか……そんなことばかりやらかしてしまっている。
だけど影山くんはこんな駄目な先輩なのに優しくて、酷いドジにも怒らないでくれる。
だから何とか影山くんの役に立てるよう、汚名返上出来るようにとしてるんだけど……なかなか出来ずに今に至っている。
「…でも、今日こそ!」
ちゃんとお世話をしてあげるんだ!
そう意気込んで練習で汗だくの影山くんにタオルを渡そうと近付こうとした………私の足元にはバレーボールがあって…気付かなかった私はそれに足を取られてしまった。
「っ、天崎先輩!」
影山くんの慌てた声と、近付く床に転ぶ…!!と覚悟を決めて目を閉じたけれど…一向に痛みが来ない。
「…あれ?」
転んでないどころか、何か浮いてる……?
「…ったく、柚季は本当にドジだよね…。」
「わ、スガ!?」
そう、わたしはスガに抱きかかえられてるような状態になっていた。
慌てる私にスガは苦笑を浮かべた。
「もうちょっとちゃんと足元を見なさいっていつも言ってるだろ?」
「ご、ごめん…ありがとう……。」
「いーえ。お前の面倒を見るのは俺の役目みたいなもんだからね。」
床に立たせてもらって、怪我が無いかを確認される。
「…スガって世話焼きだよね。」
「柚季が昔から心配かけるからだよ。…足捻ってない?」
「……うん、平気。」
「なら良いかな。…あ、でもタオルは寄越して。また転びそうになったら困るし、皆には俺が渡しておくから。」
柚季は座ってなさい、そうスガに言われたら逆らえなくて大人しく座る。
……私がまともに影山くんのお世話を出来る日は来るのかなぁ…。