第6章 緊褌一番ー5日目ー
「おはよう京香さん」
「おはよう潔子ちゃん。仁花ちゃん大丈夫?」
「大丈夫です!おはようございます!」
「ふふ、無理しないでね。5日って早かったねえ」
朝、いつものように起きると既に潔子ちゃんは起きていて。眠そうな仁花ちゃんに声をかければ布団を片付ける。
この5日間も遂に最終日。
改めて振り返ってみると、何とも中身の濃い合宿だったと思うのだが、あっという間だったような気もする。
支度を終えれば、3人で部屋を出た。少し疲れが溜まっているのか身体が重い。でも昨日の夜のことを思い出せば、彼らの為にやれることをしてあげなきゃと気合いを入れた。
「そういえば、京香さんは代表決定戦見に来てくれるんですか?」
「んー。予定がなければ応援に行くつもり。その時は烏野応援に混ぜてもらおうかな」
「白鳥沢じゃなくて?」
「うん、ほらあそこは生徒たちの応援が凄いから…」
「なるほど、京香さんが来てくれたらうちはみんな喜ぶ。仁花ちゃんも応援席だものね」
「あぁそっか、1人しかマネージャーダメだからね」
「そ、そうなんですか!初めての大会なので緊張します…」
話しながら朝食を作る。私が応援に行くと言えば2人とも嬉しそうにしてくれて安心した。これは何とか予定をあけて行くしかない。
恐らく若利からも来いって言われるしなあ。
そういえば、工が若利を越えるエースになる為に指導してくれとか言っていたなと思い出した。
烏野、青城は十分に強くなったと思う。
白鳥沢を脅かすことが出来るほど。
きっと面白い試合になる。
県予選のレベルどころじゃないくらいだろう。
そこまで考えて、最近白鳥沢に顔を出してないことに気付いた。休みが出来るたびに顔を出しているのは烏野だ。そのことが自分の中ではっきりとすれば、今更ながらに驚いた。
それほど烏野は私にとって魅力的な場所なのか。
まあ、そのおかげで青城とも関わり合うことが出来たのだが。
合宿最終日の朝食を作り終えたところで、廊下から話し声が聞こえてきた。どうやら部員たちが起きてきたよう。
今日は起こしに行かなくて大丈夫そうだね、と潔子ちゃんと笑えば朝食を盛り付ける。
それも何だか寂しい気がしたが、食堂へ入ってきた夕君や翔陽君の元気な挨拶に吹き飛ばされたようだ。
私も笑顔でおはようと挨拶した。