第2章 兄×6は、私に対して反抗期の頃がありました。
『え…?』
私はカラ松兄さんの口から出てきた言葉が信じられなくて、聞き返してしまった。
「だから、瑠璃ももう中学生になったんだ。そろそろ俺に頼らず自分で考えてみたらどうだ、って言ったんだ」
聞き間違えてはいなかったらしい。
『あ…ごめんなさい…』
「いや…俺も言い過ぎた…」
カラ松兄さんは、頭をがしがしと掻くと「ちょっと散歩してくる」と言って、外に出て行ってしまった。
たしかに、今までカラ松兄さんに頼ってきすぎたとは思う。でも、こんな急に冷たくされるなんて…。中学生になって少し大人になったから?ずっと兄弟に頼るなってこと?
それとも、おそ松兄さんみたいに私のこと嫌いになったのだろうか。
『私、二人に何かしちゃったかな…』
二人に嫌われるようなことをしてしまったのかもしれない、と振り返ってみたけど何も思い当たることは見つからなかった。
『チョロ松兄さん…私、最近おそ松兄さんとカラ松兄さんに何かしたかな…?』
学校から帰ってきたチョロ松兄さんに、聞いてみた。自分では気づかないうちに何かしてしまっているのかもしれない。
「…今疲れてるから後にしてくれる?」
『あ、ごめん…』
「ご飯になったら呼んで」
『わかった…』
チョロ松兄さんはよっぽど疲れているのか、すぐにどこかへ行ってしまった。
今までなら、私が話しかけたらどんなに疲れていようが「お前の話は長いから簡潔にな」とか言うけど、ちゃんと話を聞いてくれていた。だから、よっぽど疲れているのかなと思ったけど、もしかしたらおそ松兄さんたちのように嫌われてしまったのかもしれない。
『もしかして…一松兄さんにも十四松兄さんにもトド松兄さんにも嫌われてるかもしれない…』
そう思うと、この家には私の居場所がないという考えに至った。でも、私が居てもいい場所はこの場所しかない。そうなると、私が兄さんたちに絡まないようにすればいいだけのこと。兄さんたちに迷惑をかけず、この家で生活をしていけばいい。
「ただいま」
『い、一松兄さん…おかえりなさい…!』
「…もしかして、今日なにかあった?」
一松兄さんは、学校の制服を着たまま私の隣に座りこんだ。