第2章 カカオフィズ(及川・岩泉)
チャイナ・ブルー
淡い水色とライトグリーンの中間色の、美しいカクテル。
そのカクテル言葉は・・・
“自分自身を宝物だと思える自信家”
「俺にぴったりだからね」
不敵な笑みを見せる及川に、マスターは優しくうなずく。
少し離れた所で、そのカクテルを嗜む岩泉もまた・・・
一口一口飲むたびに、高校生だった頃の自分達を思い出していた。
そして、最後の一滴。
“3年間、ありがとう!!!”
舌の上に広がる甘さが呼び起こしたのは、及川の涙だった。
仲間として肩を並べ、
同じ夢を追いかけ、
喜びを分かち合い、
悔し涙を流し合った。
数年前までは全てが当たり前だった。
だが、互いに別々の道に進み、一人はバレーボールを続け、一人はバレーボールを断念した。
全てが当たり前でなくなった今。
願うのは、たった一つ。
大事な時間をともに過ごした、大事な人の・・・
幸せ。
午前0時21分。
及川、岩泉、ヨシノのそれぞれの想いを包み込むように、夜は静かに更けていった。
第2章 『カカオフィズ』 Fin.