• テキストサイズ

【嵐小説】嵐色〜甘い味〜

第1章 キスの味


「…」


目線を逸らし、黙り込んでしまう和。


赤い顔は変わらず、言いにくそうに口をパクパクさせている。


ごめん、そんな顔させたい訳じゃねぇんだ。


キスされたことがないから想われてない、なんて考える奴は俺しか居ないのかもな。


「ごめん、和。やっぱ…」


なんでもない、そう続けようとした。


けど、和の顔を見たらそんなこと言えなかった。


「じゃ、じゃあ…目瞑ってくださいよ…」


顔を耳まで真っ赤に染め上げ、目に涙を溜め、真っ直ぐ俺の目を見つめて告げた。


「和?」


嬉しかった。


本気で考えてくれたんだって、そう思えたから。


「あの、だって、恥ずかしい…じゃん…」


消え入りそうな声を、俺の耳は拾い上げた。


あー、もう。


俺ってカッコ悪ぃ。


今絶対ぇ顔真っ赤だよな。


「いいよ、これで良い?」


体勢を変えることなく目を瞑り、和を待つ。


思えば、こうしてキスを待つなんてこと初めてかもしれない。
/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp