第9章 以心伝心
廊下を歩きながら、繋がれた手にチラチラと視線を送る智くん。
なんだかソワソワしているし。
分かるよ、俺にだって智くんの言いたいことぐらいね。
普通に繋いでいた手を絡め合い、恋人繋ぎにする。
「翔くん…」
「俺だって智くんのこと知ってるんだからね」
「うん」
嬉しそうにギュッと手を握り返してくれる。
そして駐車場で車に乗り込む時。
あることを言う為に横に座る智くんの方を見る。
すると智くんも俺の方を向き…。
「「愛してる」」
なんの前触れもなく、2人で同時に放った言葉。
それが偶然なのか必然なのか…全く同じ言葉で全く同じタイミングだった。
「かぶったね、智くん」
「同じだったね、翔くんと」
またも同時に似た内容。
「ふはは」
「ふふ」
2人で笑いながら車を発進させた。
俺らの意思ってどこかで繋がってるんじゃないかな。