第7章 頼りの味
「なんか最近スランプなんだよね」
始まりは翔くんのこの1言だった。
「スランプって?」
珍しく翔くんからご飯に誘われたと思ったら、1言目がこれだった。
「よく噛んじゃうし、ラップ書くのも時間かかる。
歌詞やダンスも間違えてばっかで。
何をやっても上手く行かない…」
俯きながら弱々しく言う翔くん。
「それは俺に相談してんの?」
相談なのかグチなのか。
「うん、相談。
松潤なら話聞いてくれるかなって思って」
と、情けないような曖昧な笑みを浮かべる。
“ 松潤 ” は仕事仲間、嵐としての呼び方。
「ごめん、迷惑だった?」
不安そうに顔色を伺う。
「迷惑じゃないよ。
誰にだってあるよ、スランプぐらい。
俺だってあったんだから」
そんな時は翔くんに話を聞いて貰ったり、励まして貰ってた。
だから今度は俺がする番だな。