第6章 思惑の味
「ニノー、他んのやろうよー…」
収録の待ち時間、楽屋で大野さんとトランプをする。
「また変えるんですか?」
これで4度目。
飽きっぽい大野さんに心の中で溜め息を漏らす。
「だって負けてばっかじゃつまんない」
と、拗ねたように机に突っ伏す。
「勝てば良い話ですよ」
さも当然、とばかりに言うニノ。
「勝てないから言ってるんじゃん」
俺はニノと違って、こういう駆け引きみたいなゲームは苦手なんだから。
「対戦ゲームも散々でしたからね」
クスリと微笑んだ。
「それは言わないでよ」
頼りなさそうに眉を下げる。
やっぱりゲームと名のつくものはニノに勝てない。
と、改めて思い知らされた。
「はぁ…別に変えても良いですよ。
何します?
ま、どうせ俺が勝つけど」
トランプを片づけながら言うニノ。