第3章 矛盾の味
「じゅ、10個も?5個じゃダメ?」
「ダメ」
5個ならなんとでも誤魔化せるから。
それじゃあ全く意味がない。
「う…分かったよ…っ」
翔さんが10個言い終わるまで触り続ける。
「か、カッコイイ…」
照れてるのか、感じてるのか、少し口籠る。
「可愛い…と、こ」
カッコイイに可愛い…。
まぁ定番だね、誰にでも言える。
「えと…華奢、色白」
一気に2つ。
華奢も色白も外見的特徴。
「それから…優しいところ…ん。
一緒に居て楽な、ところ…」
残り4つ。
なんだかあっという間な気がする。
それに在り来たり。
翔さんにしか言えないことがある、って思うのは俺の高望みなのかもしれない。
人を好きになったり、付き合う理由は人それぞれだから。
そんなのに在り来たりや定番なんて存在しないのかも。