第1章 キスの味
珍しく2人の休みが重なり、今日はニノの家でデート。
…の筈なんだけどな。
「なぁ、ニノ」
隣に座っているニノに声をかける。
「なんです?」
「せっかく2人きりで居れんのにゲームばっかしてんなよ」
ソファーに寄りかかり肩を並べて座っている。
それは良いんだけど。
当のニノはゲームに夢中、俺なんて眼中にねぇし。
「どうしてもですか…?」
「どうしても。
ゲームは別に今じゃなくたって出来るだろ」
俺と2人でのんびりなんて、そうそう出来ることじゃない。
ニノの手の中からヒョイッとゲーム機を取り上げる。
「あっ…」
ゲーム機を追ってパッと俺の方を見るニノ。
やっとこっち見た。
「潤くん、返して…?」
コテ…と首を傾げ上目遣いに言うニノ。
「ん…」
そんなニノにやられ、せっかく取り上げたゲーム機を素直に返してしまう。
ニノに甘いな、俺って。
こういう時につくづく痛感する。