第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
(私は…)
首にまわされる湖の手が、軽く三成を引く
そして、降りてきた三成の身体を抱きしめると耳元で呟くのだ
「三成くん…大好きだよ」
小さく優しい声色で
甘い花と、どこかすがすがしい柚の香りを漂わせて
「大好き」
三成の耳元でそう繰り返される
たったそれだけで、先ほど自分の中にあったドロドロとした思いが溶かされるようだった
嫉妬
湖から香る、他の男から贈られた香りへの嫉妬
(まさか…自分にこんな感情があるなんて…)
コツンと、畳に額を落とし湖を抱きしめる
そして、その髪から香る柚の香りに小さく笑った
「あなたと居ると…色々気づかされます」
(私は自分で思っているよりもずいぶん器の小さな人間なのだと…)
はぁ…と、三成から息が零れる
同時に身体がころりと反転した
「わぁ…っ」
三成が下になると、湖はその彼に抱えられたまま上になる
「いつか…」
「ん…?」
「いつか、あなたに相応しい男になってみせますから…」
ちゅっと、軽く音が立つような口づけ
湖はきょとんとして三成を見た
そしてクスリと笑うと…
「じゃあ、私も三成くんに相応しい女になるね」
と、そう返してくるのだ
静かに降る雪が、物音を消す
そんな静かな夜のこと
三成にだけ、甘く鳴く歌声が聞えた夜だった
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三成編終了です
ぬるま湯な裏に仕上がってしまいました