第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
■ 「聖夜の夜に : 政宗編」 ■
それは、政宗に贈られた着物
湖は、畳んであったそれを一度開いてみる
衣は軽くしなやか
シフォン生地のようなものだ
袴とは違い、しっかりはしていないが、その分軽く足さばきが良さそうに思えた
上衣も
(洋服みたい…チューブトップにジャケットみたいな…腰で縛る紐も、帯より細くて楽そう…)
「でも、これ着たら鈴と間違えられそう…」
「着てみろ、鈴とは全く違うだろうが」
シュッと襖の音がすれば、政宗が部屋に入ってきた
「びっくりした…っ、政宗、上は終わったの?」
「いや。酒飲みは残っているが、俺はもう退散してきた。御殿に戻る前に、顔を出そうと思ってな」
そんな政宗の気づかいに、ほんのり頬を染める湖
「なんだ…最近、かまってやってなかったから溜まってるのか?」
湖の様子に気づいた政宗がにやにやと湖を見ながら襖を閉める
「ちがうよっ…でも、嬉しくって。ここのところ、確かに忙しくって政宗と二人ではなかなか話せなかったでしょ?」
「…なんだ…今日はやけに素直だな」
(さっきの話のせいかも…)
私は、私らしく…自分でそう言ったのが耳に残っている
「まあ…確かに、お前が…声が出るようになったあとは、急に忙しくなったからな」
「うん。特に、政宗と光秀さんは外出多かったものね」
「……」
「なに?」
「いや…なんでもない」
湖は首を傾げたが、政宗は湖の持った着物に視線を落とすと着てみろと急かすのだ
「今…?」
「なんだ…?気にくわないか?」
「そうじゃないけど…」
頬を染める湖に政宗はふっと笑いを零す
「…今更だろう…几帳もある。そこで着替えてこい」
「…わ、わかっとよ…じゃあ、こっち見ないでね」
着物を抱え立ち上がろうと膝立ちすると、湖は政宗に忠告するかのように言う