第23章 大切な人に贈り物を (裏:政宗、家康、光秀、三成)
「そうですか?私は、思ったことを言ったまでですが…」
「…お前のそうゆうとこ理解できない…」
「湖、貴様は貴様の思ったとおりに話し動いていろ。ただし、帰る場所を忘れるな」
家康と三成が言い合うのを止めるように聞こえた信長の声
「…間違ったことを言ってもですか?」
「間違いなどない。それぞれの立場や時によって正しい事など変わってくる。結果がどうなるかなど…先の事は知らん方がいい…貴様は、俺の想定外な事をしでかすが…それも一興。好きにするがいい…」
(先の事は知らない方がいい…それが、あなたが時を超えて此処に来た私に歴史を聞かない理由ですか?)
信長は、五百年後の世の状態を聞くことはあっても、自分の事やこの時代がどうなるかなんて一切聞いてこなかった
それは他の人たちも一緒だ
だが、聞かれても答えられない
もう違うのだ
自分が助けた織田信長
彼が、本能寺で命を落とさなかった時点
いや、それより前
武田信玄や上杉謙信が生きている時点で、もう湖と佐助が知っている歴史とは異なっているのだ
ふふっと湖が笑う
「そうですね…私もそう思います」
先の事なんて解らない
この先、現代に戻る日が来るかも知れない
タイムホールが開かず、この時代でこのまま生きるかも知れない
(なら…)
「私は、私らしく、精一杯生きますね」
にっと信長が笑う
「…色々ご迷惑おかけするかもしれませんが…」
「迷惑ではなくて、心配だっ…まったく…少しは危険な目に遭っているという自覚をしろよ、湖」
「はい…あ、でも、前の事はさすがにちゃんと自覚したよ?大丈夫、危ないなーって思ったら一人歩きしないし、知らない人には付いてかないよ」
うんうん!と注意する秀吉を見ながら意気込めば、秀吉は大きなため息と共にがっくり肩を落とす
「お前…いくつのこどもの認識なんだ…」
「くくくくっ、はっ、ははっ…光秀は残念だったなぁ、こんな面白い場面にいないなんて」
政宗が大笑いする
小雪がまだ降っている夜
きっと今頃、現代のこども達はサンタクロースの夢を見ているだろう冬の一幕だった