第5章 歌声 (裏:政宗、家康、信長)
(なんだろう?最近、視線を感じるんだけど…)
部屋を出て、女中の手伝いをし、今日は特に武将たちとは遇っていないがなぜか気配だけが感じられ
「今日はみんな居ないけど、何かあったのかなぁ…」
そうポツリと呟く
一緒に掃除をしていた女中が、軍議ではありませんか?と答えた
(軍議かぁ・・・戦国時代なんだもんね、戦とか当たり前のことなんだよね・・・)
ふぅと、一息つくと女中に休憩してくださいねと促される
素直に従うと、人気のない庭へ降りた
以前、池に鈴の姿が映ってから時折此処に来て、鈴を見るのが湖の日課になっていた
「鈴、なんだか気が抜けるよ」
毎日誰か彼か武将に合い、いじられている気がしていた湖にとって今日は静かで少し寂しいと感じてしまう
「いつの間にか・・・日常になってるんだ」
池に映る鈴はのんきにあくびをし、湖の膝の上にいた
すぅと、息を吸うと小さく小さく、鈴にだけ聞えるようにと歌を歌う
『ここから始まる 物語
それは、あなたの物語
長い、長い道が続くよ
太陽の日差しに 強い風 雨も降るでしょう
でも、雨の後に上がる虹
きっと、目を奪われる
昨日は?今日は?明日は?
あなたのページに物語が刻まれるの
何もない日なんてない
違うから 時が流れてるの
繰り返しなんてない
過去があって 現在があるの
道は続くよ ずっと 永遠に』
「ここは、空も緑も私が知ってるより鮮明で澄んでてきれいだよ、鈴…」
ザッと、砂を歩く音が聞え驚きそちらを向くと
光秀に、三成、家康、秀吉に政宗と見知った顔の他、後ろには数人の女中
「ど、どうしたんですか?」
「湖様、申し訳ありません。光秀様に頼まれまして…」
一番最初に口を開いたのは、先ほどまで一緒に掃除をしていた女中
訳がわからず、きょとんとしていると
「お前が、奇妙な歌を歌うと聞いてな」
と光秀が答えた
「歌?」
小首を傾げつつも、女中に見られないよう池から離れ武将たちの元へ近づく
「太ったとか余計なことはいうな とか」
政宗に続き
「人間になれたら とか」
家康も
まだ把握できていない湖に三成は、
「すごく素敵な声でした。もう少しお聴かせください」