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【イケメン戦国】私と猫と

第5章 歌声 (裏:政宗、家康、信長)


別の日の早朝、こっそりと部屋を抜け出すと秀吉の御殿へと足を向ける
だが目的はそこではない

「湖さん、朝早いですね」

厩舎(馬小屋)で馬の世話をしているのは4、5人の若者
彼らと出会ったのは、秀吉の御殿へ文のお使いに来た際だった

「ちょっと、この子の様子が気になって」


それは数日前に、首の振りがこわばっていた馬
馬の喉元を撫でると、硬い場所を見つけそこを優しく撫でる

「ここ、ずいぶん硬いね…痛いね…だいじょうぶ、少し見せてね」

筋肉の筋をゆっくり撫でるように、大学時代実習で馬整体師に少しついていたことがあった湖は簡単なストレッチやマッサージ方法を教えてもらったことがあった
ただ馬の治療を実際にしたのは、その間だけ
動物病院へ勤めた際には猫や犬といったペットが中心だった
今、此処に来て馬に触れられることは湖には幸運だった
動物に触れて少しでも治癒や元気で居られる手伝いをできる
現代にいた際には、虐待などで運ばれた動物たちをたくさん目にしていた

「そうそう…上手ね、楽にしていてね…」
(かわいいなぁ)

馬は気持ちよさそうにゆっくりと目を閉じていくのだ


秀吉は、朝起きるとふらりと厩舎へ現れた

「お早うございます、秀吉様」

厩舎に行く途中、世話係に遇い挨拶を交わすと馬の元へ向かおうとした

「秀吉様?」
(・・・あいつ・・・なにを?)

秀吉は湖の姿が目に入ると、足を止めた

「あ、湖さん…今朝も来たんだ。たまにふらりと現れて馬たちに触れて、ああやって悪いところ見つけては調子を整えてくれるんです。秀吉様も湖さんご存じでしたか?」
「安土城に預かっている織田家縁の姫だ…」
「は…?…っ?!」

秀吉は驚き慌てている相手に、どう答えるか考えたが何かあってからでは困ると湖について教えた

「っ!申し訳ありませんっ…姫君とは知らず…」

すぐに湖を止めにいこうとしていた世話係を留め

「かまわない。あいつは、自分のことをなんと伝えたんだ?」
「織田様の元で世話係をしていると聞いていました。暇な時に来てもいいかと尋ねられたので、断りもせず…申し訳ありませんっ」
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