第19章 私が猫で、猫が私
佐助の発言に、全員無言のままだ
「で、あれば・・・耳と尻尾が消えるまで、誰かが密かに湖さんを匿う必要があります。預けるにも、このまま預ければ物の怪扱いを受けかねないので・・・」
「最初から、物の怪猫娘だろう・・・」
「幸、そうゆう口の利き方をしていると、いつまでたっても成長できないぞ」
幸村の物言いを信玄が正す
「・・・敵の言うことには賛同したく無いが、間違ってはいない・・・」
政宗が顔をしかめながら声を出す
「確かに。あの付属物が消えない限り、今まで通りというわけにはいかないでしょうね・・・」
家康もしぶしぶ同意を示した
そんな中、今にも刀に手を掛けそうなのは二人
「まずは、それを降ろせ。信玄」
「お前に命じられる覚えは無い」
(っ、っ―――・・・っ!!な、なんか、すごく怖いんですけどっ・・・)
「お二人とも、湖様が怖がっていますよ」
そう言い、横から現れ信玄から湖をやんわりと攫うと下に下ろす三成
「大丈夫ですか?湖様」
にこりと、笑う三成に湖の気持ちが少し和らいだ
すると、尻尾が少し揺れる
湖自身は意識していないかもしれないが、それを皆は見逃さない
「ありがとう、三成くん」
ふにゃりと笑う湖
そんな二人以外は、ぴりりと空気が走り出す
「誰が、湖を囲う・・・」
「囲うなんて、物騒な物言いだ。保護するだろう」
「どちらも物言いだけで変わらん」
「その前に、あんた達は論外だから・・・」
「あ?なんだと・・・御館様に向かって論外ってなんだよ」
「俺によこせ」
「謙信様、少し待って下さい」
「いい。湖は、俺が保護する」
「秀吉様、なら私もお世話いたします」
「俺も参加しよう」
(ちょっと、ちょっと・・・っ私無視ですか??)
武将達の言い合いに湖は、一歩一歩後ろに下がっていく
(と言うか・・・絶対一人で過ごした方が、安全な気がする・・・どこかのお寺で理解ある住職さまにでもお願いして・・・)
「・・湖、何処に行く」
「この際、天女に決めてもらおう」
「え・・・っ?!」
誰か一人を決めなければ、この場から逃れられない異様な空気に湖は思わず・・・